さんさんハート岐南(株式会社セフテム)様インタビュー

人が歩き出そうとするときの最初の動作は、地面に向かい倒れること

―会社概要を教えて下さい。

名前は株式会社セフテムです。
福祉というと社会福祉法人や医療法人がイメージされますけど、今は営業法人である株式会社等が参入できるようになりまして、福祉に参入しました。うちは単独の施設でやっています。
ここの施設は、平成18年の3月1日に開設しました。

 

―従業員の人数を教えて頂きたいです。

常勤の職員さんは18名、非常勤の職員さんは14名の32名です。
男性・女性に関しましては、女性の職員さんが9割に近い人数です。

 

―新人教育について教えて下さい。

職員教育は、福祉の仕事をしているところでは、どこも必須ということになっています。独自のものとしてはありませんが、県社協等の公的な機関が、福祉施設に対して案内する研修があり、積極的に参加して頂いています。
初任者研修・中堅職員研修・リーダー研修とステップアップしていくような研修もありますので、順番に受けて頂き、キャリア形成につなげていってもらっています。

 

―職員の方の勤続年数についてお聞きしたいです。

正確に比較したわけではないんですけれど、社会の全体では、まだ介護の業界というのは平均的な賃金であったり、安定性というのは高い方ではないのです。そういう中でどこに魅力を感じるのかというと、会社の風土や考え方が続けられる理由なのかなと思っています。
離職率の高いこの業種の中では、ありがたいことに離職率は低いという風には思っています。

 

―業界の現状と見通しなどをお聞きしたいです。

そうですね、数年前になりますが、サービス付きの高齢者住宅というのが、国土交通省の事業として、たくさん建てられています。理論上は対象となるべき人は、まだまだいるということになっていますが、箱が多くできすぎまして、お客さんの取り合いになる現状にはあります。ということで、今後も続いていく仕事ではあるのですけれども、たくさん立ち上げた中で今後としてはそれが篩(ふるい)にかけられるのです。

国の施策で、様々なものに補助金が出たりしますが、まず一定ラインまでは持ち上げるのですけれども、補助金がなくなった後に、さあ、自分たちはどうするかということを考えないといけません。
そういったところで、あとは生き残れるかどうか、ということになります。現在すでに、スタートはしたけれども、経営に行き詰まり、辞められる会社を聞いたりしますので、そういった中で、どういった形で残っていけるのかということを考えないといけないな、という風に思っています。

また、病院などの入院等の医療費を在宅介護の保険を利用しながら、上手に調整していきたいというのも大きな流れの一つですので、そういった受け皿として十分に対応できるかどうかということが介護の施設には求められているのかなと思います。

 

―複数部屋で同室の方とうまくいかなかった場合の対処法はありますか?

うちの施設はですね、全室個室ということになっていますので同室という形にはならないんですけれども、ただ隣接はしていますし食事は一緒に取って頂いたりしていますので、人と人が集まるとどうしても摩擦が出ることはあります。

そういった場合には、職員が間に入って、話をよく聞いて解決するような形を取らせて頂いております。それでも相性が中々合わなくてずっと長い間、あの人とあの人は仲が悪いとかいうことはあります。波長の合う人・合わない人であったり、ちょっとしたトラブルが原因になってそこから疎遠になってしまうなんてこともあります。

それでもこの限られた中で生活しないといけない、外に逃げることのできない入居者の方にとってはとても重要なことです。
相談員や私も間に入って話を聞いたり、少しでも解決できるようにしています。

 

―施設行事というのはどのようなものがありますか?

そうですね、これは8月の行事予定表として上の階にも掲示したりするんですけれども、8月は夏祭りを毎年行っていまして、今年は第12回目になります。2か月くらい前から段取りをしまして、木の櫓(やぐら)や提灯をセッティングしまして夏祭りをするんです。

大きい行事以外にも、体操・音楽・書道・編み物の先生に来てもらってレクリエーション活動に参加していただいたり、ボランティアの方に声をかけさせて頂いて、ピアノの演奏会を行ったりだとかですね。

日常にどうしても変化が少ないため、そういったことで気分転換や楽しみを持っていただけるように工夫はしています。それ以外の行事の無い日は、職員さんが工夫してそのフロアごとで何かレクリエーションを行ったりだとかいうことをしてもらうこともあります。

ちょうどあそこに、ちぎり絵があるんですけれどもあれも入居者の方に手伝っていただいて作って、夏祭りの時に飾らしてもらいました。

 

―入居者の方は外出などできますか?

そうですね、施設によっては全く自由な出入りが出来ないところもあるんですけれども、うちの特徴というか一つとしては、逆に自由に出入り、入居者の方のみでも散歩に行っていただいたりとかできるようになっています。

「そんなことして大丈夫ですか」という質問もあります。もし、認知症で外出した後に帰ってこれなかった経験がある方は、声をかけさせてもらって外出は控えて頂くか、職員が一緒について外出しています。ご自身で財布を持って買い物に行かれる方の中には、90代の方もいるんですよ。

「もし転倒したらどうするの?」ってことは言われるんですけれど、うちの考えとしては人が歩くっていうのはバランスを崩すところから始まるんですよ。立っている状態から一歩踏み出そうとするときに、体を傾けて倒れるということをするのが1番最初なんですよ。人が動くってことは、転ぶリスクがあるという、当然で自然な事なんですよ。

怪我はしてほしくないんですけれども、動かなければそれだけ気持ちも落ち込んだりしますので、なるべく動けるのであれば、積極的にお手伝いをします。

暑い時期に、出かけられたけどまだ帰ってこないということで探しに行ったら、「ちょっと疲れて往復はきつかったわ。」と言って途中で座ってみえることもありました。そういったことはあるんですけれど、今のところは安全の為に拘束してしまうよりかは、外出は自由という形を取らせてもらっています。

 

―時間や時期など面会の制限はありますか?

日中に関しまして朝8時半から17時半まで事務所に職員がいる時間帯には出入口を開けております。
インフルエンザの時期とかはマスクや手指の消毒をしていただき、風邪気味でなければ面会をして頂いています。

ただ、入居者さんを病院受診にお連れしたりして、そこで風邪を拾ってこられるケースが今までもありましたので、ご本人さまが風邪をひいている場合には、施設に任せて頂いて面会に来て頂かない方が良いと思いますので、そういう際には事前に案内させて頂いたり、当然インフルエンザの流行の時期に咳をしながら入ってこられる方がみえたら、面会をお断りするということはありますね。

 

儲ける為の仕事ではない

―セフテムさんの介護としての強みは何か教えて下さい。

実は特別無いんです...(笑)
無いんですけれども、うちの施設なんかですと、介護を行うというのは直接的に職員さんが行う部分・・・そういった人の部分がですね、ウエイトが大きいので、人の育成であったり、確保を大切にしています。

岐阜市の有効求人倍率は2.0で、企業は「人が欲しいよ」と言っているんですけれども、それに対して「仕事に就きたいよ」という人が半分しかいない。それだけ選ぶ側としては潤沢な状態、それだけ選択肢が多くて良いという考え方ですけれども、じゃあ実際に経済的に回るかと言うと人手不足という考え方なんですね。

やっぱりそういった点で人の確保という部分が重要になってきます。そういった中で、先ほども少しお話しましたが、働く人がずっと続けられる環境か、続けたい環境か、というのを常に考えています。

おかげさまで、施設が建ってから10年以上経っていますが、オープン当初から続けてくれている職員さんも数多くいまして、そういった人に支えられて安定し、またベテラン職員さんが対応できるということで安心したサービスを提供することができているのかなと思います。

 

―社長の志をお聞きしたいと思います。

難しいですね...。
そもそも立ち上げとしましては、先代が立ち上げたという形になります。施設の立ち上げの前には、私も相談を受けておりました。営業法人という名前になっていますけど、この事業は儲ける為の仕事ではないということを確認しました。何十年と先代がやってきた仕事の後に社会貢献もできるような仕事をやりたいという話でした。

経営に対する考え方としては、今も変わりません。しかし、社会貢献ということもありますが、やはり会社運営ということになりますと、働く人たちの生活を安定させるための職場の一つになりたいということで、働く人がすべて思い通りに、理想通りにというわけにはいきませんが、もしも自分がこの会社で働くとしたら、ということを常に考えるようにはしています。

 

―今後目指していきたいと思うビジョンを教えて下さい。

総合的な評価で、まずは県内で1番評価が高い施設にしたいというのが目標としてあります。以前に老人ホームを評価する本があり、評価項目が大変よく考えられており、その評価項目を参考にしながら満点を取れるような施設にしたいと取り組んでいます。

 

―就職活動をしている学生に向けて何かお願いします。

そうですね、先ほど少し出たお話で、就職先を選べるような状態になっているということが良いことではありますけれども、逆に言えば厳しい状態ではない事が、心の隙をつくりやすい状態だと思うのです。そういった中で一つの仕事に就いて、良いことも辛いことも結構ありますが、先ずは3年間、会社の仕組みに則り勤める。

メディアなんかでは、環境の改善ということで「企業がもっと良くならなければならない」とかそういうことを取り上げがちになるんですけれども、それ以上に個人の成長が大切です。就職に至ったのであれば3年間は勤めてそれから次の転職を考えているのならばそれでも良いと思うのです。

まあ、これにはそれなりの理由がありまして、うちに面接に来た際、履歴書を見せてもらうのですが、辞め癖が付いている人がいるんです。そうすると数カ月、長くても1年で転々としていますね。短時間でお会いする中で相手のことを理解することは相当難しく、客観的に評価することができる履歴書は重要となります。

小さな会社の面接では以前の評価や情報っていうのは、ほとんど得られないです。○○にある会社に何年いましたという情報が残っていくんですね。履歴書とわずかな会話で「この人は前の会社で一生懸命勤めて会社を支えてくれたような人なんだな」とその人の印象が決まります。

一生の自分の履歴にも残るものですし自分自身の自信につながるんですね。ある程度やり遂げたっていうのが大事なことの一つでもあると思うので、そういった点でも入社できたのであれば頑張って続けてもらいたいです。

あとは一人で悩まないこと。
1番近い相談役としては人生の先輩で社会を知っている両親に相談することがとても有意義であると思います。僕も若い頃なんかはそこまで考えられなかったんですけれども、実際にこういった会社経営に携わるようになってから、人生の先輩の意見としまして、どの様なところで苦労したのかなど、言葉の裏には実績があると思うので一人で悩まないことっていうのが大事かなと思います。

 

株式会社セフテム
代表取締役社長 奥村 吉弘 さん

入社以前は自動車整備工場で働いていたが、施設開設に向け平成17年より入社。
平成27年に株式会社セフテム代表取締役社長に就任し、施設長兼任で経営と施設運営に携わっている。

 

 

株式会社セフテム

平成18年3月に有料老人ホームさんさんハート岐南を開設し、介護サービスの特定施設入居者生活介護を提供している。

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